リファラル採用は3.0へ~ファンベース採用の時代へ~前編
# 目次
- 0.なぜ私が急に「リファラル採用3.0」と言い始めるのか?
- 1.リファラル採用3.0(ファンベース採用)とは
- 2.なぜ、「リファラル採用3.0(ファンベースの考え方)」が重要なのか?
- 3.なぜ、リファラル採用をアップデートするのか?
- 4 リファラル採用3.0(ファンベース採用)とは
- 5.リファラル採用3.0(ファンベース採用)の人事と社員の在り方と構造とは
- 6.予告(リファラル採用3.0を実現するメリット)
#0.なぜ僕が急に「リファラル採用3.0」と言い始めるのか!?
こんにちは、MyReferで社長をしております鈴木です。
私たちMyReferは、2015年に創業し、パーソル(インテリジェンス)からスピンオフをしたリファラル採用サービスを提供している会社です。
あまり知られていないかもしれませんが、実は日本で先駆けてリファラル採用サービスを提供した会社でもあります。
創業当初は、認知度も全くの0からのスタートで、「縁故採用」とも混同されてしまうなど、その価値は理解されていませんでしたが、昨今は社員の紹介によるリファラル採用は採用の常識になりつつあります。
私たちも4年間に渡り、500社を超える導入・3000社を超えるアドバイザリーに携わらせていただき、リファラル採用を入口に、企業と社員の関係性を見直す新しい可能性も見出せてきています。
しかし一方で、危惧していることはリファラル採用が、”ただの採用手法”としてのブームで終わってしまうことです。
そこで今回、2015年よりこの概念を提唱している私たちだからこそ、その変遷を紐解き、今後あるべき姿に向けて「ver3.0」にアップデートすべきだと考え筆を取りました。
#1.リファラル採用3.0(ファンベース採用)とは
リファラル採用3.0とは、社員が自発的に会社をおすすめしたくなる関係作りから始まる採用手法。
社員を会社のファンにして、信頼できるファンのつながりを活用して、ファンをベースに会社を創っていく考え方です。
従来のリファラル採用は短期的な応募・決定数をKPIに『採用すること』を目的に置いているのに対して、リファラル採用3.0(ファンベース採用)は、中長期的な決定数、友人に自社を語っているファン社員数をKPIに、会社の『ファンを増やすこと』を目的にしています。
その結果、採用単価の削減や離職率低下のみでなく、おすすめしたい会社創りによる『社員のエンゲージメント向上』の効果が期待できます。
リファラル採用を推進することにより、社員が自社を語る機会が増え、皆が自社を「おすすめしたい会社かどうか」見つめ直すことで、エンゲージメントが向上していきます。
#2.なぜ、「リファラル採用3.0(ファンベースの考え方)」が重要なのか?
求人倍率などのミクロな視点ではなく社会的なマクロトレンドの視点で考えてみます。
2-(1)インターネット・ソーシャルの発達による情報の過剰流通
(総務省情報通信政策局「平成18年度 情報流通センサス報告書」より)
結論から言うと、情報の過剰流通により人間が受け取る選択可能情報量が2万倍(現在はそれ以上)になっており、リアルな情報に回帰する流れがあるということです。
2000年代に入ってからはインターネット上で検索をしてあらゆる情報を取得できるようになりました。昨今は、更にソーシャルメディアの発展により、『何を』というコンテンツのみでなく、「身近な誰が」、「何をおすすめしているか?」という情報までも気軽に取得できるようになりました。
この圧倒的な情報の過剰流通により、「何が正しいかぶっちゃけわかんねえ」という流れになりつつあり、情報の信ぴょう性(ソース元)を意識する、リアルへの回帰が起きつつあります。
これは、転職・採用市場の情報トレンドでも同じです。
「アットホームな職場!」「福利厚生充実!」「残業時間ゼロ!」
こんな漠とした表層のハード情報を見たところで、「で、ソースは?」って話なのです。
ゆえに、求人メディアや転職エージェントの求人票にて差別化を図りづらくなっており、社員をファン化しておすすめしてもらうことで、採用の競合優位性を担保するリファラル採用が注目されつつあるのです。
2-(2)少子高齢化による、労働人口(採用候補者人口)の減少
言わずもがなではありますが、労働市場がシュリンクし、働き手がいなくなると、企業の打ち手は3つしかありません。
- ①採用市場で勝者になる(戦略的に、攻め採用を実行し、勝つ)
- ②一人当たり生産性を向上させる
- ③既存社員を辞めないように組織を改革する
社員をファン化して、エンゲージメントを高めながら全員採用を実現するリファラル採用3.0は、これらすべてに当てはまります。
2-(3)ロイヤルティからエンゲージメントへ(Z世代の社会進出における概念変化)
日本はエンゲージメント後進国で有名です。
米ギャラップの調査によると、エンゲージメントが高い日本社員の割合は6%と先進各国で最下位、さらに「自社をおすすめしたいと思っている社員の割合」も先進国で最下位となっています。
これは、「雇用を守ることは大前提」という日本企業独特の硬直化された経営慣習も一部影響しています。
「日本企業は成果主義的なプレッシャーもなく、社員のレイオフ(解雇)もないので組織にぶら下がりながら働ける」環境であったこと、「エンゲージメント」ではなく「従業員満足度」「ロイヤルティ(忠誠心)」への意識が高かったことが大きいと考えられます。ゆえに日本の大企業の多くは性悪説に則り組織設計されています。
大量生産時代の、高度経済成長期はそれでよかったかもしれません。
情報の透明性を意識せず、性悪説に立って組織を設計し、既存業務を合理化し、全員が機械のように同じ方向を向いて働いてくれたほうが、売上が伸びたからです。
しかし現代はもはやテクノロジーが進歩し、モノや情報が溢れており、既存業務を合理化するのであれば、人ではなくAIの方が効率的になってきています。そうなると、「人が介在して働く価値」はアップデートされなければいけません。
- 「ネガティブな発信があるかもしれないので会社でSNSはNGだ」
- 「採用は人事のみでやるものだ」
- 「社員が本業そっちのけで遊ばないように見れるサイトを制限せねば」などと言ってる場合ではないのです。
Z世代と言われるデジタルネイティブ世代が社会進出するに伴い、はたらく人の価値観も変化しているのです。
彼らは情報の透明性や双方向のコミュニケーション、自分の介在価値を求めます。
ゆえに、採用活動においても人事が独り相撲で採用数を追い、不透明に組織を創っていくのではなく、社員にもサポーターになってもらい、全員で仲間を集め、会社を創る「リファラル採用」が求められているのです。
まとめ:情報の過剰流通、労働人口の減少、人が介在して働く価値のアップデートにより、ファンベースの考え方をベースにした社員をファンにする「リファラル採用」が重要に
#3.なぜ、リファラル採用をアップデートするのか?
ここ数年で、HR領域においてリファラル採用という概念は定着しつつあります。
私が初めにMyReferを立ち上げた2015年9月は「縁故採用と何が違うの?」「それって日本で流行らないんじゃない?」「人事が面倒くさがるでしょ」というような言葉をよく頂戴しました。
しかし、現状はダイレクトリクルーティングを上回る勢いで検索されており、攻め採用を実践されている企業を中心に『当たり前』の概念になりつつあります。
近年では、個人の方々にもこのワードが広まり、Twitterでもよく下記のようなつぶやきを散見します。この市場の啓蒙をし続けてきた当社としては嬉しい限りです。
しかし市場の広がりは嬉しい半分、リファラル採用の浸透と同時に、本来私たちが意図していた世界とは違う広まり方をしているケースも増えてきました。
短期的な母集団獲得や採用単価の削減が目的で形式的にリファラル採用制度を導入して、おすすめしたいと思っていない社員にもインセンティブ目当てでの紹介を促進するという、本質的ではないリファラル採用が広まってきてしまっております。
まとめ:リファラル採用を形式的に導入しておすすめしたくない社員に紹介してもらうのは本来の価値ではないので、リファラル採用の概念をアップデートする必要がある。
#4.リファラル採用3.0(ファンベース採用)とは
ファンベースという概念は、元電通で現ツナグ代表の佐藤 尚之さん(通称さとなおさん)が定義した概念であり、「ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や価値を上げていく考え方」です。
この概念は私たちが考えるリファラル採用で実現する世界観に非常に近く、リファラル採用3.0(ファンベース採用)を下記に定義しています。
◆リファラル採用3.0(ファンベース採用)
社員が自発的に会社をおすすめしたくなる関係作りから始まる採用手法。
~社員を会社のファンにして、信頼できるファンのつながりを活用して、ファンをベースに会社を創っていく考え方。
「リファラル採用1.0」はいわゆる「縁故採用」として、社長や経営幹部の肉親、繋がりによる裏口入社的な採用手法。
それから「リファラル採用2.0」は、一部社員だけでなく全社員をリクルーター化して、インセンティブによって社員を強制的に動かす採用手法として広まってきました。
我々はそこから「リファラル採用3.0」として、社員もしくは関わった人たちが自発的に会社をおすすめしたくなるような関係づくりから始まる採用を提唱します。
#5.リファラル採用3.0(ファンベース採用)の人事と社員の在り方と構造とは
リファラル採用3.0(ファンベース採用)においては、人事、おすすめする社員の在り方も変遷します。
リファラル採用3.0における人事は、会社の中で最も自社のファンであり、おすすめしたい会社を創るディレクターです。
実際に、リファラル採用を推進していくうえで、下記のような相談をいただくケースが非常に多いです。
- 経営陣、上位役職者の協力・理解が得られない
- 短期間での成果を求められる
経営陣や上位役職者は、事業や人事への定量的インパクトを見るので、わかりやすい短期的なKPIで成果を求めることが多いです。
その結果、人事のみでKPIを追い、年間採用人数を達成するための採用マシーンになってしまっている人事の皆さまを多く見かけます。
また、リファラル採用の導入において、自分が本当に薦めたい会社だと思えないと、導入はおろか、社内にお願いをするモチベーションが出ないというケースも見かけます。
これらはまさに仰る通りで、本質的にリファラル採用を浸透しておすすめしたい会社を創るためには、人事が採用マシーンではなく、社員がおすすめしたい会社を創るディレクターになるべきで、自社のことが好きで、会社の中で最も自社のファンになっている人が旗を振るべきだと考えます。
紹介リクルーターには、自社への理解が高く、自発的に応援してくれる社員が最適です。
自社のことをよく理解している社員が、友人の人生をポジティブにする選択肢の一つとして自社をお勧めする、リクルーターというよりは、サポーター(アンバサダー)に近いイメージです。
実際に、リファラル採用が日本より10年以上先進しているアメリカにおいて、紹介動機を1600名のリクルーター社員にアトランダムにアンケートを取ったところ、下記のような結果が出ています。
◆リファラル採用の紹介動機は?
1位:友人の力になりたかったから(ホスピタリティ)
2位:ともに働く会社の人材の選択に自分も関与したいから(当事者意識)
ボーナスをもらいたいという理由は実は10%しかありませんでした。
当事者意識を持って採用に協力してくれた、つまり事業や会社成長に貢献してくれたという観点で、当然会社として報いてあげるべきですし、紹介ボーナス自体はあったほうがいいです。
重要なのはコミュニケーションの取り方であり、「決定したら30万あげるから紹介して」というような、リファラル採用を促進するためにドーピング的に社員にインセンを払って釣るのではなく、「当事者意識を持って、会社づくりに貢献してくれたことへのお礼」として、あとからリワードとしてのボーナスがついてくるイメージがベストです。
上記アンケートにもある通り、リファラル採用の紹介の大半は、「友人の力になりたかったから」という利他意識による紹介です。
つまり、自ら積極的にハンティング活動をするアクティブ社員ではなく、友人からキャリアの相談を受けた際にその選択肢の一つとして自社を提示してくれるパッシブな社員です。
リファラル採用3.0では自分から声がけはしないものの、友人から相談を受けた際にキャリアの選択肢として自社を提示してくれるパッシブな社員も対象になります。
※このあたりの方法論は次回のブログにて詳しく記載する予定です。
まとめ:リファラル採用3.0は、リファラル採用1.0(縁故採用)、リファラル採用2.0(形式的な社員紹介採用)をアップデートした、「社員が自発的に会社をおすすめしたくなる関係作りから始まる採用手法」。
#6.予告(リファラル採用3.0を実践するメソッド)
今回は、ファンベースを実現する「リファラル採用3.0」について提唱させていただきました。
MyReferはリファラル採用の本来の価値を提供するため、コンサルタント、プロダクト、マーケティング、広報全てに紐づくコンセプトとして、これから啓蒙活動に取り組んでいきます。
本ブログを前半とし、後半ではより詳細な方法論をお伝えさせていただきます。
◆後半:リファラル採用3.0(ファンベース採用)を促進する本質的なメソッド『SOTS』とは?
- 1.リファラル採用3.0(ファンベース採用)を促進する本質的メソッド『SOTS』とは?
- 2.リファラル採用3.0の具体的事例
- 3.最先端企業のCHROが語るファン社員を創る組織づくり論(イベント案内)
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。
自社でも「リファラル採用3.0」を取り入れていきたいという人事・経営者の皆様からのお問い合わせ、ご連絡をお待ちしております。
◆MyReferお問合せ
https://i-myrefer.jp/corp/support/inquery/input
※また、11月7日(木)に転職・副業などの未来の働き方の提唱者であり、転職・副業のプロである@motoさんとVoicyにて対談予定です。
ご興味のある方はご覧ください!
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最後に、私たちのビジョンに共感し、令和を代表する会社を共に創っていただける方、ご連絡をお待ちしております。
ともに新たな時代、『令和』の『当たり前』を創りましょう。
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